新SD戦国伝 地上最強編 その1

 地上最強編は4部構成で、1〜3部まではそれぞれ主人公+仲間2人という編成で3人の主人公が揃って大将軍(大光帝)が登場する4部で締め、という流れです。3部まではそれぞれ3種のキット間でデザインラインや基本的な仕様が統一されていて、連動ギミックもあります。また、各部の3人はそれぞれ付属する馬・銃・盾を合体させて大型装備を作ることができ、これを大光帝に装備可能。あとこの時期のキットはコストの問題なのかあまりいろプラを使っていなくて、デザインの複雑化と合わせて塗装が大変なのも特徴です。
 このシリーズのキャラ自身やその子孫・血縁を中心にして連続した物語が「武神輝羅鋼」まで5シリーズ続いていくことになるので、武者の歴史においては中興の祖とかいう感じでしょうか。リアルタイムでは私は引退していた時期なので当時の状況は知らないのですが。
 また、次作「伝説の大将軍編」以降はデザインに特定の元ネタとなるガンダムが存在しないか、あってもあまり強調されないことが多いのですが、地上最強編では大光帝以外は全員明確なデザインモチーフが存在しています。ただ、初期三部作で既存ガンダムをほとんど使っているうえにそれとの重複は徹底して避けられていて、しかも展開された時期が映画のF91とOVAの0083以外にガンダムの新作が無い時期だったこともあって、元ネタの枯渇からか3部とも「最新ガンダム+アニメ未登場のマイナー機」という変則的な編成になっていて、どの部にも1人仲間外れがいるラインナップになっています(第1部はGPシリーズ2機+レッドウォーリア、第2部はF91+MSV2種、第3部はF90系2機+Mk-V)。

 

・第一章 竜虎、相まみえる!

 第1部は古代中国(というか三国志演義の序盤)がモチーフになっていて、2部以降がかなり攻めたデザインになっているので結果的に和風でもないのにシリーズで一番武者っぽいデザインになっているような気がしないでもないです。また、アレンジに関しても2部以降と比べるとかなり元ネタのデザインの特徴を残したものになっています。
 第2部以降は鎧の換装・交換や変形・合体といったギミックがありますが、第1部は大光帝に流用可能な合体武具を除くと特に連動ギミックがないのも特徴。シリーズ序盤のためか、デザインもギミックも堅実にまとめてある印象です。

■No.97 白龍頑駄無 (2007.07.22.)
 第1部主人公。デザインの元ネタは当時の最新ガンダムでもあったGP01フルバーニアンで、かつての統治者・龍帝の子孫で主人公側3人のリーダー格ということからもキャラ的には劉備が元ネタになっていると思われます。
 ちなみに白龍が「龍帝の子孫」、三国伝の劉備ガンダムが「龍帝を継ぐ者」なので両者には関連があるのではないかと言われていましたが、雑誌に載った三国伝の設定によると三璃紗(三国伝の舞台)のかつての統治者の一人として白龍大帝(伝説の大将軍編で再登場したときの白龍の名前)が記載されているため、三国伝は戦国伝と同じ世界の未来に相当するようです。また、この設定だと白龍は劉備ガンダムの先祖ということになります。

 軽装。伝説の大将軍編以降は軽装の頭部に髪みたいなモールドが入るのが一般化しますが、白龍も髪があるっぽいというかえらい富士額です。胸の顔っぽいパーツは可動で、メッキパーツの和魂を取り出すことが可能。

 フル装備。背面も含めてかなり元ネタのラインが残っています。

 武器は双剣と、あと背中のブーストポッドのうち剣のサヤになる部分が外れて盾になります。盾に剣を逆に刺して合体武器にすることも可能。

 付属の龍馬・白に騎乗。背中が平面で乗せるだけの構造なので、他の武者を乗せることも可能です。3つの龍馬が合体して天龍馬(アーガマ)になるギミックがある他、馬の口からミサイルを発射するギミックがあり、そのため白龍自身は銃器を持っていません。

 なお、馬の可動範囲はこんな感じ。

 せっかくなので子孫(推測)と並べてみました。

 

■No.98 青龍頑駄無 (2007.12.01.)
 義勇軍の副頭目で、義勇軍で最初に白龍と接触した人物。赤龍が義兄弟の頭目なので、役割としては青龍が張飛で赤龍が関羽なのか。
 かつて龍帝に仕えていた龍牙一族の出身。設定には龍牙一族の生き残りで一族を黄虎賊に滅ぼされたと記述されていますが、同じ龍牙一族出身の甥(輝龍頑駄無)が後で登場しているので彼を残して全滅したというわけではなかったようです。いや、例えば青龍が一族以外の出身の嫁をとって、その嫁の兄弟の息子が血縁は無いけど縁戚上は龍牙一族ということになった、とかいう可能性も無いではないですが。
 GP02から派生したSDキャラは元ネタの原作での扱いから敵だったり途中で裏切ったりしがちですが、青龍は一貫して味方で脇役のままでした。そのせいで影が薄(以下略)。
 キットは2色+メッキの標準構成。この時期のキャラの例に漏れず設定上の色分けがやけに細かいので塗装は割と手間です。

 軽装。とりあえず綺麗に仕上げたいならマスキングに気合を入れるか色分けを省略してしまうのがいいと思うよ。というかノンマスキングで腰の赤を塗るとか無謀でした。
 白龍と同様に頭には毛が生えているっぽいモールドが。なお、軽装状態のカラー写真は箱や説明書にはありませんが、HJ別冊に載っています。生え際はもう富士額とかそういうレベルではないです。
 (※追記:その別冊の写真が元々パッケージに載っていたもので、再販の際に注意書きの追加のために削除されたのではないかという情報をいただきました)

 武者形態。胴体や脚が同時期の他の武者より若干大きめで、さらに肩鎧がかなり大きいので他のキャラより大柄に見えます。

 武器は盾と青龍刀、あとGP02のアトミックバズーカの砲身を丸ごと省略したような銃が付属。銃は背面に装着可能、青龍刀は盾の裏に格納できます。

 龍馬・蒼。合体ギミックの都合で脚の構造が白とは異なります。3頭の龍馬の中であごひげが生えているのは蒼だけ。

 

■No.99 赤龍頑駄無 (2007.12.01.)
 義勇軍の頭目で、青龍と違って出身等は不明。コミックワールドでは義勇軍の本拠地に天下統一編の武神頑駄無そっくりな像が立っているので、彼と何らかの関係があるのかもしれませんが特にそういう設定はありません。
 白龍が合流した後の義勇軍の序列がどうなったのかは不明ですが、地上最強編終了後は赤龍が白龍に仕える形になっています。
 キットは鎧を外すとレッドウォーリアになるというぶっ飛んだギミックを搭載しています。ちなみにレッドウォーリアのプラモデル化はこれが最初で、SD以外では今に至るまでキット化されていません。一説によるとMSVの後期に出るはずだったのがMS-X立ち上げのためにお蔵入りし、さらにそのMS-XもZガンダム製作のためにキット化が流れた、という経緯があるらしいですが。

 レッドウォーリア。赤龍の場合はこれが他の武者における軽装に相当します。そのため鎧に他のキットとの互換性はありません。
 体格は500円キット基準なので、300円のパーフェクトガンダム等よりは一回り大きめ。肩側面のノズルが別パーツで再現してあったり、造形が地味に細かいです。
 武器はシールドとバズーカが付属。バズーカを保持するサブアームは再現されていません。あとレッドウォーリアのシールドは小型で覗き穴が無いのですが、このキットのものはRX-78と同じ形状。

 赤龍頑駄無。中身がレッドウォーリアなので前腕や脚は同時期の他の武者よりシンプル。
 頭と胴は中身を鎧パーツで前後から挟み込む構造で、肩は上から被せるだけです。

 武器は戟と大砲が付属。刀や剣はありません。大砲はレッドウォーリアのバズーカに外装を追加したもの。
 武器のグリップは全体的に太めで、特に戟は柄にヤスリがけでもしないと太すぎて持たせにくいです。

 龍馬・紅。白と蒼は音読みなのにこれだけ訓読みで「くれない」です。構造は蒼を左右反転したような感じ。

 そういうわけで第1章チームの3人が揃ったので並べてみました。馬付きの武者は他にもいますが、単一シリーズ中で騎馬のチームを組めるのは今のところ他に例がありません。

 で、龍馬3体を組み合わせた天龍馬(アーガマ)。前後幅はそのままに左右幅だけ3倍という強引な体形ですが、脚は格納・合体してちゃんと4本になります。

 

・第二章 大蛇飛駆賽虫の襲来

 ※大蛇飛駆賽虫の読みは「オロチビグザム」。
 第2部の3種はいずれも軽装から武勇形態・強化形態へ2段変化し、さらに他のキットのパーツを装着して最強形態への変化も可能で、また武勇・強化の形態では余剰パーツがあまり発生しない(使わないパーツも背面に装着される)のが特徴です。また、1部は古代中国、3部はインドがモチーフなのに対し2部は唯一の和風武者スタイルですが、旧三部作との差別化のためかかなり独特のデザインになっています。

■No.101 武者衛府弓銃壱 (2007.09.16.)
 第二章の主人公で天宮出身。刀の他に弓も扱え、またシリーズでも珍しい左利き設定の武者。
 次作の伝説の大将軍編では烈光頑駄無と改名し、主人公として続投することになります。これの1つ前のNo.100の千生もF91ベースだったり外伝でも灼騎士F91が2シリーズに渡って準主役級で登場していたりとF91はSDだと何かと優遇されていますが、SD全盛期にTVシリーズ新作がなく数年に渡って「外伝作品を除けば原作最強ガンダム」だったことを考えると妥当な扱いなのか。

 キットは500円サイズで、成形色は白・メタリックレッド・金メッキの3色。

 軽装。烈光になると頭に毛が生えますが、この時点ではつるつるです。

 武勇形態。左利き設定なので刀の鞘は右側に装着されます。

 武装は刀と光乱散破天(ビームランチャー)、盾、あとバックパック兼用の弓が付属。弓と大砲にはそれぞれスプリングによる発射機構が別々に内蔵されています。また、盾はグリップの差し替えにより向きを正面と横の2つから選択可能。
 弓用の矢みたいな形の弾丸は手に持つことも可能。

 激闘と全武装は強化形態用のパーツも武勇形態の背面とかに装着されていますが、弓銃壱は光乱散破天に強化鎧が装着されています。

 強化形態。兜を前後反転&後頭部装甲の位置入れ替え、肩・胸装甲を追加しています。・・・何かすげえデザインですね。

 そして武者激闘頑駄無のパーツを装着した最強形態。・・・えーと、一応腰の装甲が増えているのですが。

 光乱散破天に激闘、全武装の大砲2つを合体させると最強破壊砲(グレートバスターキャノン)になります。別に読みも「さいきょうはかいほう」でいいじゃん、とか思わないでもない。

 ついでに3人並べてみました。シリーズ通してもデザインの飛ばしっぷりが際立っているような。

 

■No.102 武者激闘頑駄無 (2007.02.11.)
 読みは「ムシャヘビーガンダム」。当て字と意訳はデフォルトの武者シリーズにあってもトップクラスの読めなさ加減を誇るネーミングです。成形色は白・ガンメタ・金メッキの3色で、色分けはシールを使ってもかなり不完全。
 元ネタのヘビーガンダムはガンダム顔だけどツインアイではなく左右の眼がつながったデザインでしたが、この人もよく見ると左右の眼の間に入る黒い縦線が途中で切れていて眼がつながっています。・・・というか見た目でヘビーガンダムだとわかる要素はそのくらいですが。

 で、これと全武装は地元で箱がベコベコになった在庫を棚から掘り起こして購入したのですが、とりあえずパーツの入ったビニール袋の口がホチキ止めしてあるくらい古いキットでした。
 激闘と全武装には金メッキされたツノの一部に設定上は銀色の部分があって、普通は上からラッカー溶剤でも塗れば表面のクリアイエローが落ちて銀色になるのですが(ただ、そのまま放置するとメッキ膜が酸化してえらいことになる可能性があるので、上から無色クリアーを塗っておくのが無難)、これはキットが古いせいなのかイエローの層が中途半端にしか落ちなかったので、とりあえず上からクリアブルーを塗って誤魔化しました。誤魔化せていないような気もしますが。

 軽装。刀を2つ持っているし剣士キャラ・・・なのかと思いきや後述の最強形態は砲撃タイプだし、「伝説の大将軍」編の百式ザクレロに付属の風雷の神器を装備すると槍使いになるという何が得意なのかよくわからない人です。
 ちなみに肩には初期シリーズの武者の肩鎧を装備できる受けもありますが、専用の肩鎧は肩上面の穴に軸を差し込んで固定する構成なので、旧シリーズの武者に肩鎧を流用することは不可能です。

 武勇形態。兜の側面から生えたツノは上下可動で、これを上に曲げて逃がせば差し替えなしで左肩の大砲を正面に倒すことも可能です。あと全武装も同様ですが、何かというと兜と肩鎧が干渉するので腕を胴から浮き気味にしておくと具合がいいです。

 強化形態。背中についていた胸鎧とマスクを正面に装着し、代わりに元の胸鎧を背中につけています。シールドは左肩に固定。
 あと、胸鎧の腰についているパーツを外して衛府弓銃壱に装着すると弓銃壱が最強形態になる・・・んだけど、小さいうえに顔とかの目立つ部分につくわけでもないし、あってもなくてもあんまり印象変わらない気が・・・。

 

■No.103 武者全武装頑駄無 (2007.02.11.)
 読みは「ムシャフルアーマーガンダム」。成形色は白・メタリックグリーン・金メッキの3色です。このグリーンは武者で使われているメタリック成形色の中でもけっこうきれいな方だと個人的には思いますよ。
 激闘には弓銃壱と全武装それぞれの最強形態用パーツが付属していますが、全武装には激闘用パーツのみが付属。基本的な構成は対になる激闘に準じていますが、顔の形状は同じRX-78系モチーフの激闘とは大きく違っていて、上下に細長い印象になっています。強化形態で足裏にパーツが追加されて身長が伸びるし、「長身でスマート」というキャラ付けなのかも。

 軽装。胴体は直線的でシンプルな面構成にメカメカしいディティールが入った、ガンダムとしては割と独特なデザインになっています。

 武勇形態。激闘と違って右肩の大砲は兜と干渉するので前に倒せません。あと左手に持つ盾も身長に対して上下に長すぎるので少し持たせにくいです。ついでに背中につく強化形態用の武器も長すぎて地面と干渉するし、この形態はパーツの干渉が多くて正直いじりにくい・・・。

 強化形態。激闘と違って胸鎧は外さずに重ね着する形式です。なお、この形態では足裏のパーツを接続して盾にするためのジョイントのみ余剰パーツになります。右手につく武器はハサミのように開閉しますが、軸が細いので取り扱い注意。

 

 で、強化形態の状態から右の肩鎧を交換することで、激闘と全武装の最強形態になります。全武装は強化形態より武器が2つも減って普通に弱体化しているように見えますが、たぶん気のせいです。もっとも激闘も合体武器を作ると両肩の大砲2つが無くなりますが。

 

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