BB戦士三国伝 風雲豪傑編

 BB戦士20周年記念企画。武者番長の商品展開打ち切り後の空白期間を経て開始された、三国志を題材とする新シリーズです。
 未発売のBB戦士No.296〜299の発売を後回しにしてNo.300にシリーズ第1弾の劉備を当てたり、第1陣を流用キット以外のBB戦士では異例の3点同時発売にしたりと、かなり気合を入れた立ち上げになっています。
 厳密には武者シリーズではないようですが、戦国伝終了以降に追加された人間キャラや子武者といった要素を全部削除しているあたりSD戦国伝の直系という気がしないでもない。
 なお、背景設定として「龍帝」という人物がかつて存在したことになっており、新SD戦国伝・地上最強編(1章主人公の白龍が「龍帝の子孫」という設定)の世界の遠い未来の話のようです。

 キットは天星七人衆以来のBB戦士専用新規ポリパーツを導入し、武器だけでなく鎧や中身の骨格にも互換性があるのが特徴になっています。
 また、烈伝後期から600円で定着していた価格帯を500円に落としていて、そのせいかメッキパーツは使用されていません。コストダウンに加えて低年齢層向けに意図的にパーツ数を削減してもいるようで、標準化しつつあった眼とアゴの別パーツ化も廃止されていますが(※追記:曹操ガンダムは別パーツ化)、成形色はポリパーツを除いて4色程度で割とカラフル。また、天星編ほどではないですが設定上の色分けもやや控え目。
 従来の武者キットでは腰に可動部があっても鎧を装備すると動かなくなることが少なくなかったですが、三国伝では胴鎧が胸と腰の2パーツ構成になったため基本的にはフル装備でも腰が回るようになっています。
 あと武者シリーズのキットには刀やナギナタ、銃といった複数の武装が付属することが多かったですが、今回は武装の種類を減らしてその代わりに大型化する傾向になっています。
 他に三国伝独自要素として、足裏が名前の前半(漢字の部分)の文字を刻印したスタンプになっています。

 それと、武者番長で廃止されたコミックワールドも復活(コミックワールドという名称は使用されていませんが)。説明書のカラー部分を全部使って4ページの大ボリュームです。ただ、これもコストダウンの影響なのか、最近のガンプラでは標準仕様になっているパッケージ底面のモノクロ印刷が廃止されていて、さらに説明書も漫画で埋まっているのでキャラ紹介はパッケージ側面のみに。
 で、ストーリーはコミックワールド及びボンボン連載漫画で展開されていましたが、風雲豪傑編のストーリーは2007年11月発売の呂布トールギスのキットおよびボンボン最終号で完結し、続編の英雄激突編に移行する予定。

 ※なお、例によって以下の写真も設定とは細部の配色が違います。

 

■No.300 劉備ガンダム (2007.06.17.)
 三国志における蜀に相当する「翔」のリーダー。
 元ネタの劉備は三国志演義においては儒教思想を体現する徳の人で、最近は漢王朝の末裔という看板しかない状態から上手いこと立ち回って天下三分に持ち込んだしたたかなおっさん、みたいな解釈もされていますが、三国伝コミックワールドにおける劉備は主人公的に熱い正義の心を持ちつつも意外とクールで智謀に長けているというか計算高い一面の持ち主、という独自のキャラ付けになっています。
 なお、キットの初回出荷分は初回特典のポスターが付属し、折り畳まれた状態で箱に入っています。この初回分はパッケージそのものもデザインが若干異なっています(特典告知の他に、名前の下にオレンジ色のライン入り)。

 軽装。なお、他の2人も含めてパッケージの見本写真だと軽装状態は眼とアゴ以外塗装しないのが設定上の配色になっているようです。私はてきとうに塗りましたが。
 三国伝シリーズ共通の仕様として着脱式の鎧が体の側面まで覆うため、軽装状態の胴体は鎧の厚みの分だけ細くなっています。スネは1パーツ構成で肉抜きがありますが、劉備と関羽は穴が側面ではなく後ろに開いているので正面からは目立ちにくくなっています。
 手首は左右ともに標準的な穴開き拳ですが、初期アイテム3種で左手に武器を持てるのは劉備のみです。また、穴の断面が円ではなく長方形になっているので、武器の柄を手首に対して角度をつけて保持することも可能。
 あと、チョンマゲのパーツは兜用のジョイントを利用して取り付けているため着脱可能で、他のキャラに装備することもできます。

 フル装備。劉備は関羽や張飛あたりと比べると武器が地味でビジュアルイメージも固まっていないし、さすがに長い福耳をつけるわけにもいかなかったようで、割と素直でシンプルなデザインになっています。何故かチョンマゲですが。
 なお、他の2人と違い劉備のみ頭の防具は全体を覆う兜ではなく、チョンマゲ+額冠の2パーツ構成で後頭部は中身が露出します。また、腕は防具なし。
 武器は設定上も装備武器の牙龍刀(赤)と爪龍刀(青)の他に、発売時点では詳細が不明な龍帝剣(金色)の3つが付属します。

 件の龍帝剣。ちなみに武器の刃と鎧やらが同じ色なのが気になったので武器3種は成形色の上からパールとクリアカラーを吹いていますが、やっぱり金色と言うより黄色に見えますか。

 武器のうち赤と青は背中に装着可能。バックパックには可動式の赤い羽根がついていて、そのバックパックの上から刀のホルダーを取り付ける構造。

 漫画では説明書でも初回特典でも両肩に関羽と張飛の鎧を装着して三位一体の必殺技を出していますが、その状態はキットでも再現可能。説明書の方だとさらに全身が金色になりますが。
 なお、肩装甲は3種とも着脱の際には一旦分解する必要があります。ピンの径や長さは調節してあるようでスムーズに着脱できますが、合わせ目を処理しつつ着脱するには加工が必要。

 サイズ比較。烈伝の武者より若干背が高いくらい。可動範囲は農丸と比べると一長一短、他の烈伝武者よりは総じてよく動きます。

 

■No.301 張飛ガンダム (2007.06.17.)
 デザイン発表以来延々と「どうして張飛がZで関羽がZZなんだよ、普通逆だろ」と言われ続けている不幸の一番星こと張さんです。いや、一般的には関羽が長ヒゲ美男で張飛は熊とかイノシシとかソレ系のイメージとはいえ、横山光輝版だとむしろ張さんは周囲から浮くくらいイケメンじゃんかよう、北方版でも蜀で一番男前っぽいしー。などと愚痴ってみたくなる私は北方版のせいで張さん派なわけですが。あ、いや、演義寄りの抜けた張さんもあれはあれでいいけど。
 原作では武勇に優れるけど粗暴、という扱いでしたが、コミックワールド版だと劉備にうまいこと利用される役回りっぽい。

 軽装。左側頭部に「張」の字がモールドで入っています。
 左手は指を開いているうえに手首にもひねりがついた造形になっていて、ポーズをつけやすい反面素立ちだと違和感があるのでは、とか危惧していましたが、案外そうでもないです。なお、キットの状態だと左手の甲には肉抜き穴が開いていて、これは関羽も同様。また、右手も長柄武器に合わせて劉備とは少し形状が違うものが付属しています。

 フル装備。肩、腕、脚とあちこち左右非対称だったり、胸鎧が布服みたいな形状だったり、元ネタにも既存の武者にも似ていない側頭部のツノとか、発表済みのキャラの中では特に独自色が強いデザインになっています。
 付属武器は雷蛇のみ。元ネタは演義で張飛が使っていた蛇矛のはず。なお、これに限らず演義に出てくる武器は史実の三国時代にはまだ存在していないものが多いそうですが、まあ格好よければいいよね。

 雷蛇には背中についた刃を取り付け可能。


■No.302 関羽ガンダム (2007.06.17.)
 美髯公、ヒゲの人です。以上←おい。とりあえず原作に関しては、曹操は関羽に激ラブだけど関羽は劉備にベタ惚れだったという三角関係だけ押さえておけばいいと思うよ。よくないですか。なお、パッケージに記載の設定によると三国伝の曹操ガンダムも関羽を気に入っているようです。
 コミックワールド版では劉備や張飛より落ち着いた常識人っぽい印象。一人称は「ワシ」。武者シリーズでは頭にハイメガキャノンがついたZZ系キャラはキットが在庫になりやすい、というジンクスがありますが、この人は在庫化しないといいなあ、とか。

 軽装。鎧がゴツいぶん軽装の貧弱さが際立っているような気も・・・。左手首は平手ですが張飛と違って手首はまっすぐ。

 フル装備。 ヒゲ+専用武器と元ネタに特徴があるおかげでシリーズ通してもわかりやすいデザインになっております。付属武器は鬼牙龍月刀のみ。
 肩や腰の鎧は他の2人よりボリュームがありますが、バックパックは付属しないので背面がやや貧弱。

 額の鬼面の位置を付け替えることで眼を隠した状態にできます。

 で、せっかく3種揃えたので桃園の誓いっぽく。いくら可動範囲が広いとはいえ3人分調整するのはちょっと面倒というか張さんだけポーズがてきとうっぽいのは気にしない。

※追記(2007.08.14.)
 関羽の兜と肩鎧のツノの肉抜き穴をパテで埋めてみました。あと左手の甲も。

 手の甲と後頭部の小さいツノは割と見えやすいので効果的だと思います。逆に左右の大きいツノは整形に手間がかかる割に正面〜横向きだとほとんど穴が見えないので無視してしまった方がいいかも。

 


■No.303 司馬懿サザビー (2007.08.11.)
 三国志における魏に相当する「機駕」の武将で、曹操ガンダムの軍師。
 元ネタの司馬懿は曹操に登用されたものの活躍の大半は曹操の死後の話で、三国伝の元ネタになった他の武将の大半とは年代がちょっとずれているのですが、その辺はすっぱり無視して6月の桃園兄弟に続くシリーズ第2弾として発売、ストーリーにも序盤から関わることに。
 蜀の軍師・諸葛亮のライバル扱いというか演義だと周瑜に続く孔明の引き立て役ですが、歴史的には「2代で滅亡した地方王朝の筆頭軍師」と「後の統一王朝の実質的開祖」(司馬懿は晩年にクーデターで魏の実権を握り、孫の司馬炎が魏に代わる晋の初代皇帝になっています)なので逆の意味で勝負になっていないような。
 ちなみに呉に蜀との同盟を裏切らせる策を立て、関羽が死ぬ原因を作った人でもあります。あと無双ではビームを撃って攻撃したり北方版ではマゾヒストだったり横山版では「待てあわてるな これは孔明の罠だ」だったり。

 で、三国伝の司馬懿サザビーに関しては「古代の文献を独自に調査している」「動向を曹操にも警戒されている」と、いかにも後半に何かやらかしますよ、という設定になっています。

 あとキットについては覇道武者魔殺駆(No.131)以来10年以上のブランクを経た「非・ガンダムタイプのSDオリジナルキャラ」であり、個人的には存在そのものが奇跡みたいなものですが、逆に言えばこの人が売れなければ今後ガンダム以外の武将はキットが出ない可能性が高い、という話でもあるよなあ、とか。

 軽装。というか説明書ではいきなり軍師モードを組むようになっているので、これは説明書には記載されていない形態ですが。
 なお、桃園兄弟3種とは違って着脱可能な鎧は兜と肩装甲、バックパックのみで、胴体と腕は鎧が固定されています。ポリパーツは同じなので中身ごと入れ替えれば他のアイテムとの換装も可能ですが。
 また、左手は例によって1種類しか付属しません。あと腕は前後2パーツ、脚に至ってはフレームを左右から装甲で挟みこむ3パーツ構成と、胴体以外は桃園兄弟より大幅にパーツ割りが細かくなっていて、肉抜き穴の露出もほとんどありません。

 武者シリーズでもモノアイ武者はほとんどが頭部に兜が固定されていたので、このスキンヘッドにモノアイというスタイルは斬新というか何というか。
 頭部は丸ごとガンメタ単色パーツで顔面はシールで色分けされる仕様です。眼のシールはモノアイと黒い部分が一体化しているので視線を変えるには塗装するなりシールを切り刻むなりする必要があります。あと顔はイラストだと白ですが付属シールと見本写真は銀色。
 それと、額には関羽や
張飛と同様に「司」の文字を図案化したエンブレムが刻印されています。

 軍師モード。軽装から肩側面と腰に装甲を追加、あと兜を装着しています。

 色々とそれっぽいポーズをつけられて楽しいです。

 武将モード。軍師モードに肩前後の装甲とバックパックを追加、兜の前側のパーツを交換しています。
 靴部分は白と赤がパーツ段階で完全に色分けされていますが、他の部分の赤ラインはほぼ全て色分けされていないのでシールを貼るなり塗装するなりする必要があります。なお、成形色の赤はやや寒色寄りで、ガンダムカラーだとレッド8(マラサイ用)がほとんど同じ色。

 背面。バックパック中央に巻物が付いていますが、他は全体に意外と素のサザビーに近い形状になっています。

 武器の剣と扇は合体可能。ちなみにそれぞれサザビーのビームトマホーク、シールドをアレンジしたデザインのようです。

 胴体以外の鎧は互換性があるので、例として説明書にもモノクロ写真が載っている劉備の鎧に換装してみました。これはこれで割と格好いいような気がしないでもない。

 サイズ比較。同じ値段の桃園兄弟より若干大きめになっています。

※追記 (2007.09.16.)
 2個目を買って赤く塗ってみました。

 武者漣飛威っぽく。

 

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