BB戦士三国伝 英雄激突編 その1

 風雲豪傑編に続く三国伝の第2部。董卓軍との戦闘から数年後、まだ三国が成立していない時期からスタートしています。
 シリーズナンバーが割り振られたキットの第1弾は2008年2月発売の夏侯惇ギロスですが、「英雄激突編」のロゴが付いたキットは2007年12月発売の桃園セットが最初になります。なお、BB戦士全体のナンバーとは別に振られているシリーズ独自ナンバーは風雲豪傑編からの続きになっていて、夏侯惇ギロスは「08」。
 あと漫画はボンボン休刊に伴い、仕切りなおしてケロケロAで連載されています。

 なお、説明書の漫画では第1部同様に「コミックワールド」という名称は使用されていませんが、ケロケロA版と区別するため以下の記事ではこちらの漫画を便宜上「コミックワールド版」と呼称しております。

 

■No.307 夏侯惇ギロス (2008.02.24.)
 機駕の武将で曹操ガンダムの配下。というか第1部の時点では三国が成立していないので初登場時には「機駕」という名前も出ていませんが。
 元ネタの夏侯惇は魏の武将で曹操の従兄弟。同姓でやはり魏の武将の夏侯淵とも従兄弟ですが演義だと兄弟(惇が兄)。曹操に挙兵時から従い、最後は曹操の死後に病死。董卓の死後に曹操と敵対した呂布軍との戦闘で左眼を負傷、失明しています。
 正史では個人的な武勇に関する記述が少ない一方で曹操には最も信認されていて、魏軍の要になる重鎮というか管理職というかそういうキャラ付けをされることも。あと演義では要するに敵の中ボス扱いです。

 コミックワールド版では司馬懿に意見して一喝される役として初登場。その後の対・呂布戦で夏侯淵ダラス(三国伝では弟設定)とともに曹操を援護し、この際に左眼を負傷して隻眼になっています(史実・演義より負傷の時期が前にずれています)。さらに夏侯惇自身のキットのエピソードではガンダム系キャラほぼ放置でものすごい活躍をして第一印象を完全に払拭する男前っぷりです。
 ボンボン版でも経緯は違いますがやはり董卓軍との戦闘で負傷。いずれも初登場時は眼帯をつけていません。
 なお、ベルガギロスの原作でのパイロット・ザビーネも眼帯キャラですが、ザビーネの眼帯は右です。あとザビーネは原作中で一貫して眼帯を着用したままなので中身がどうなっているのかは不明。

 キットは司馬懿サザビー、呂布トールギスに続く非ガンダム第3弾にして前の2つよりさらに踏み込んだアイテム選択で個人的には非常にうれしい反面、「これが売れないともう次は無い」感もさらにハイボルテージです。
 ちなみにガシャポン以外のSDでのコスモバビロニア系MS商品化は元祖SDのダース・ベルガくらいしか前例が無く、BB戦士では初の快挙。
 ところでSDだとF91は異様に優遇されていてギロスも十数年越しで2個目の商品化を達成した一方で、ビギナ・ギナは一貫して冷遇されていますね。戦国伝・外伝・コマンド戦記の全てでギロスより扱いが悪くて(外伝のギナは初期HPこそギロスより高いですが、プリズムカードになれなかったうえに続編で異様に弱体化・・・)、しかも三国伝では商品化以前に登場していない有様。

 成形色の金色がこれまでのパールイエローから変更されています。一時期の黄土色っぽい感じのをもう少し金っぽくしたような色味。写真では全塗装していますが。あと銀色も若干青味がかった色になっています。写真では武器の刃は成形色のまま。
 第1部後半で定例化していたクリアパーツはありませんが、代わりに三国伝では初、SDプラモデル全体でもGジェネ版パーフェクトガンダムのガンダムハンマー以来になる金属製チェーンが採用されています。
 また、ランナー上に三国伝キットでは例が無いパーツ差し替え用スイッチがあるため、夏侯淵ダラスの商品化も想定した設計になっています。なお、ダラスの商品化の可能性については公式サイトで夏侯惇ギロス自身が公式とは思えないぶっちゃけた発言をしています。
 で、流用を想定したせいなのか単に面積が足りなかったのか、足裏のスタンプはフルネームではなく姓の「夏侯」のみになっています。

 軽装。相変わらず胸・腰の装甲着脱は廃止されたままです。額には「夏」の文字が。腕は左右非対称で左腕にのみ丸い金具みたいなモールドがありますが、これは鎧をつけると見えなくなります。
 眼帯は別パーツ化されていて着脱可能です。額の汎用ジョイントに取り付けるため、他のキャラにも装着可能。ただし劉備と呂布はこのジョイントを兜に使うので兜との同時装備は不可能ですが。なお、眼帯の眼の上のラインは設定上は赤ですが、兜を装着した状態で赤が見えるのが気になったので紫にしておきました。

 そういうわけで例として、眼がツインアイではなくて一番似合わなさそうな司馬ビーにつけてみました。

 フル装備。肩鎧と背中のパーツは裏表が同じ形状なので左右の入れ替えも可能です。
 孫権もそんな感じでしたが、他のキャラと比べると設定上の色分けがけっこう細かくなっています。

 武器は蛇骨剛剣が付属。チェーン入りで刀身が分離・延長するというガリアンみたいなギミックがあります。
 グリップを手に持たせる他に、腕の汎用ジョイントに直接固定することも可能。腕の装甲を外せば他のキャラでも腕に固定できます(司馬懿のみジョイントが無いので不可)。
 第1部ではトールギス以外は手首が左右1個ずつでしたが、ギロスは左手が武器保持用の拳と指を開いたタイプの2種類になっています。

 曹操と並べてみました。

 顔だけガンダムにすればクロスボーンX2っぽくなるかも、とか思ったのですが、パイロットが同じだけでX2とギロスには共通点がツノとショットランサーくらいしか無いことには写真を撮った後で気がつきました。

 

■No.308 孔明リ・ガズィ (2008.04.19.)
 2007年秋のホビーショーでギロス共々発売する(かもしれない)という発表があってから約半年後にようやく発売された英雄激突編キット第2弾です。
 元ネタは諸葛亮、諸葛孔明で、三国伝シリーズでは例外的に武将の氏名ではなく字(あざな)が名前になっています。「氏名ではない」ということに関しては霊帝ガンダム等も該当しますが。
 で、孔明は劉備に仕えた軍師で、劉備に「天下三分の計」を提案した三国時代の立役者。劉備が彼を迎えるための「三顧の礼」は演義の創作ではなく、少なくとも劉備から誘いに行ったのはほぼ事実のようです。
 劉備が死んで劉禅が蜀を継いだ後は丞相として補佐、というか実質的に蜀を運営し、魏との争いを続けますが結局その途中で病死。この時期に魏の対蜀軍を司馬懿が指揮していたため、彼とライバル関係とされる場合があります。
 演義は蜀寄りなので孔明が後半の主人公格で、軍事も外交も内政も全部こなしておまけに祈祷で風向きくらいは変えられる完璧超人の妖術師みたいな扱いをされています。
 実際にはそこまでではないにしろ、経歴からも有能な人間ではあったようです。あと私欲は薄く、また「出師表」からも劉備への忠誠心は非常に強かったみたい。死ぬ前の劉備に馬謖は重用するなと釘を刺されていたのに(中略)という話もありますが。

 なお伏龍、臥龍という呼び名があり、地上最強編の臥龍頑駄無もそこから名前を取ったようですが由来について明言されてはいません。

 で、三国伝の孔明は在野の軍師として登場。コミックワールドでは風雲豪傑編のラストに顔見せをしたのが最初の出番ですが、劉備らとの初対面は英雄激突編に入ってから。
 司馬懿と同様に他のキャラが知らない事実をある程度把握しているっぽいですが、現状では不明瞭です。

 キットはここのところ恒例化していたクリアパーツやメッキ、金属といった特殊素材はなく、代わりに後述の鳥メカのための支柱が入っています。また、このキットから定価が税別600円になっていますが、パーツのボリュームはほぼ据え置きなので原油とかそういうコスト面の問題が値上げの原因みたい。
 あと顔等の成形色は初期のガンプラで多用されていた若干緑色っぽいホワイトですが(軍配の羽毛部分はこれとは違う純白成形)、元ネタのリガズィに合わせてもう少し濃い緑で塗っています。・・・いや、白を塗らないといけない部分がけっこう多いけどその緑っぽいホワイトを成形色に合わせて調合するのが面倒臭かった、という理由もあるのですが。

 軽装。本来なら腕の青い装甲は着脱式なのですが、中の腕も青成形だけど設定上は白なので塗装したら塗膜の厚さのせいで外れなくなってしまいました。うう。塗る前に表面を軽く削っておけばよかったのですが。
 胸と腰の装甲は固定式。あと箱絵だと胸は白い本体に前から青い装甲を被せたようなデザインになっていて、パーツも胴体側面に段差があります。
 額の模様は「諸」を図案化したもののようですが、龍の顔のイメージも入っているようで字として読むにはかなり崩れています。なお、足裏のスタンプは氏名ではなく「孔明」。

 フル装備。他のガンダム系キャラと比べると元ネタのデザインがかなり素直に残っています(厳密にはガンダムではありませんが)。
 胴体と脚は青単色(足の甲と靴底は一体成形)だったりと、設定上の色分けが細かい割にパーツ分割はシンプルで、桃園トリオあたりと比べると塗装にはかなり手間がかかります。ただ、脚は太股以外は肉抜き穴が露出しない構造で、塗ってしまえば形状は良好な部類。

 武器は軍配が付属。あと巻物が巻いた状態と開いた状態の2種付属し、それを持つための左手首も付属。右手首は指を2本伸ばした1種類のみです。

 軍配が変形した鳥メカが付属。軍配は変形の前後どちらの形態でも背中に装着可能です。

 鳥のための支柱も付属。透明なまっすぐの棒で、端をてきとうに手で曲げてバックパックのノズルに差し込む構造です。向きやポーズ、曲げ角度を調整しないと重心がずれて安定しません。

 呂布と同様にデザインの違う交換用マスクパーツが付属。眼から下を丸ごと取り替える構造です。νガンダムのようなデザインになっていますが、今のところこの顔の設定は特に説明されていません。
 このマスクも本体と同じ成形色ですが、見本写真だと純白で塗ってあるように見えます。

 ライバル(たぶん)と並べてみました。

 

■No.309 夏侯淵ダラス (2008.05.24.)
 機駕の武将で曹操ガンダムの配下。
 元ネタの夏侯淵は正史では曹操と夏侯惇の従兄弟、演義では惇の弟で、黄巾の乱の頃から曹操に仕える古参の部将です。色々と活躍した有能な武将のはずですが、漢中での魏と蜀の戦いの際に定軍山で黄忠に討ち取られた件が主な事跡。
 地方遠征に参加することも多く、中央で軍全体のまとめ役的ポジションにいた惇と同じ場所で戦う機会は少なかったみたい。
 勇猛な突撃型の武将で、演義では弓の名手だったとされています。

 三国伝ではほぼ常に惇とセットで登場。惇が曹操の右腕と呼ばれるのに対し淵は左腕とされています。やはり射撃が得意という設定。
 夏侯惇ギロスに合わせて黒を基調としたカラーリングになっていますが、元ネタのベルガ・ダラスはギロスと違って全身が紫の一般機(というかダラス自体が指揮官専用機ですが)以外のバリエーションは設定されておらず、原作には「黒いダラス」は存在しません。
 なお、ベルガ・ダラスはリアル等身、SDでの派生キャラも含めて今までプラモデル化されておらず、この夏侯淵ダラスが初です。

 クリアーやメッキ等の色変えキットを除くと三国伝シリーズ初の金型流用キットで、夏侯惇ギロスのパーツが流用されています。初期に発表された設定画から細部のデザインが変更されており、キット化のために流用可能なようにマイナーチェンジされたようです。

 軽装。顔のマスク部は形状の違うパーツに差し替えられていますが、他は全てギロスの流用。額や足裏スタンプの文字もギロスと同じです。

 フル装備。兜の前部装飾・トサカと武器は差し替えられていますが、肩や腕、背面の装備はギロスのものを左右入れ替えただけです。あとギロスは兜の耳っぽいパーツに鳥を意匠化した模様が入っていましたが、ダラスもトサカの銀色の部分に鳥っぽい模様が入っています。
 元々ギロスの時点で設定上の色分けが細かく塗装が手間なキットでしたが、ダラスも鎧はギロスと共通なうえに特徴的な兜の鬼面っぽい部分が単色成形だったりで割と大変です。
 青い部分はシールが付属するのみでキットに青成形パーツはありません。この部分はイラストや見本写真だと原色に近い青ですが、ちょっと暗めの色調にしてみました。赤っぽい部分は胸と爪先が成形色、他は似たような色を塗装した状態です(ガンダムカラーのガザC用パープルをそのまま使用)。

 武器は剛骨棍(棍棒)、鋭鐘(鉄球)、鋭刃弓(弓)、鋭鳳(矢)の4種が付属、これらを組み替えて下記の武器に変化します。あと剛骨棍には背面のマントっぽいパーツに取り付けるためのジョイントがあります。
 ギロス付属の左平手は削除され、代わりに矢を持つための右手が追加されています。この右手に矢以外の武器を持つことも可能ですが、拳型の手では矢を持てません。
 成形色は剛骨棍の赤紫の部分以外は全部黒の単色。今回は割と設定を無視して好き勝手に塗っています。

 

 剛骨棍+鋭鐘の剛鋭戟。どう見てもポールハンマーとかモーニングスターとかそういう感じですが名前は戟です。

 左腕のが鋭鐘+鋭刃弓+鋭鳳の剛鋭弓。

 剛骨棍+鋭鐘+鋭刃弓の剛鋭砲。パッケージの解説によるとこの形態から鉄球を発射する「獄羅丸」が必殺技ですが、漫画では他に剛鋭砲を正面に構えて突撃する「爆鋭突」という技も使っているので、この形態だけで格闘と砲撃の両方が可能みたい。
 なお、鉄球と矢は同時に取り付けると干渉するため、4種の武器全てを合体させることはできません(強引に付けられなくもないですが安定しません)。

 そういうわけでギミック減少傾向の三国伝キットの中ではかなりプレイバリューが高くなっています。

 ギロスと比較。共有パーツが多い割には差別化できているような。

 曹操と3人で。

 おまけ・全部乗せギロスとその余り物で組んだダラス。背面装備無し・両肩とも小さい方の鎧だと貧相になるかと思ったら案外これはこれでバランスが取れているような。

 

■No.310 関平ガンダム (2008.06.21.)
 元ネタの関平は蜀の武将で、関羽と共に荊州で呉に捕縛されて処刑された人。正史では詳細は伝わっていません。
 で、演義では関羽の養子ということになって出番が大幅増量。関羽が曹操の下から戻って劉備と合流したときに登場して養子になり、そのまま従軍。劉備の益州攻略に参加し、後に荊州に移ってそのまま関羽の指揮下に入り、関羽の最期まで行動を共にすることに。
 後に周倉と共に神として関帝廟の左右に祀られています。

 三国伝には第2部からの登場。コミックワールド版ではそもそも関羽が曹操のところに行かないので登場の経緯は演義と異なっています。養子ではなく弟子という設定で一人称は「オイラ」。
 元ネタ(演者)はSガンダムで、三国伝ではかなり珍しい映像作品以外の外伝からの抜擢です。

 第1部の時点でデザインが発表されていなかったキャラとしては初のキット化。当初は鎧を装着していない状態で発表され、体が軽装劉備とそっくりな件が一部で話題になりましたが実際に劉備のパーツを流用してキット化されました。

 軽装。顔、肩、靴底が新規で他は劉備の流用です。額には「関」の文字がありますが関羽とは書体が違っています。
 胴体は桃園チームと防具の互換性がありますが、肩鎧は接続方法が変更になっています。

 フル装備。なお、パッケージのイラストと見本写真ではツノの付け根、腰装甲および腰の中身の配色が若干異なっています。この写真では配色はアレンジして塗っていますが。
 肩鎧が片方しかない、胸が一部露出するなどちょっと変わったデザインです。頭の装甲は兜ではなく劉備や呂布と同様に額冠っぽいパーツとチョンマゲ的なパーツの2ピース構成。頭の装甲は白い部分のみ劉備の流用。
 劉備の顔面の他、チョンマゲの白い部分(ジョイント以外)と双剣のホルダーが余ります。

 武器は薙刀・輝鱗牙が付属。刀身の模様はホログラムシールが付属しますが、パーツ自体も平面ではなく模様がモールドで入っています。今回はシールを使わずに塗装してみました。
 手首は呂布以降でははじめて交換用予備パーツが無く、左右1個ずつ。左は武器穴の断面が長方形の拳で、右は指を開いて親指を立てたもの。右手だけでも武器の保持は可能です。

 バックパックは左右が分離し、鬼鋭爪として両腕に装着可能。腕の装甲用ジョイントで取り付けるため元からついている装甲が余ります。
 なお、鬼鋭爪は1パーツ構成で鬼面は色分けされていません。

 輝鱗牙と関羽の鬼牙龍月刀を合体して双鬼両刃刀になる連動ギミックあり。輝鱗牙の柄の端の金具っぽいパーツを外し、鬼牙龍月刀の刃を取り付ける構造です。
 関平の必殺技は本人は鬼鋭爪を装備して両刃刀を持った関羽と連携で出す技という設定なので、関羽に持たせてみました。
 かなり長いので迫力はあるけど構えにくいです。

 関羽と並べてみました。

 

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