GR-01 合体アトランジャー
 アオシマの新・合体シリーズの第1弾。近年のアオシマのキャラクターキットは全てACKSというシリーズに分類されていて、その中で原作ごとに個別の通し番号が振られていますが、新・合体シリーズもその中のタイトルの1つという扱いになっています。
 新・合体シリーズは合体シリーズのリメイクですが、新たな要素としてロボットと美少女フィギュアのキットを丸ごと1体ずつセットにするという仕様が導入されています。フィギュアがパワードスーツ的なガワを装着したり付属のメカが組み換えでアーマーになるとかならともかく、連動もできるけど単体で普通に成立するロボとのセットというのは実際珍しいような。・・・いや、直前にフィギュアと1/1サイズの銃のセットというもっとよくわからないものが他社から出たりもしていますが。

 まず合体シリーズというのはアオシマが1974年から80年代前半あたりまで展開していたシリーズで(後期はマイナーチェンジでの実質再販が多め)、4つの小型メカが合体して単体のロボットや車両その他のメカになる・・・というか合体形態を4分割したものに謎のメカパーツを追加して無理矢理気味に分離メカに見立てた、みたいな感じの構成で、当時としては珍しくスナップフィットと成形色での色分けが導入されていたり、ジョイントが統一されていて組み換えで本来の形態以外にもできる有形ブロック的な構造だったりが特徴・・・だったようですが、何しろ私は世代がずれていたのもあって組んだことは無いのでおおむね文献情報だけで語っていますが。ちなみに合体巨神イデオン(1/600可変イデオンとは完全に別物で、合体シリーズには分類されていませんが仕様はちょっと似ています。ちなみに機動合体イデオンとも別商品)は持っています。

 で、アトランジャーはアオシマが合体シリーズで1975年に発売した、原作の無い自社オリジナルロボットのキットが起源で、これはそれのリメイクにあたります。今回のものは初代アトランジャーがベースのようですが、他にも合体シリーズ以外も含めていくつかのバリエーション機があります。
 なお、初代アトランジャーは500円×4種の合体マシンと100円×4種のミニ合体マシンの両方でキット化されていて、本体はおおむね同じデザインですが分離形態およびそれを組むためのパーツのデザインには相違があります。
 今までにもフィギュア化されたり何故かゲームにゲスト出演したり旧キットが復刻されたりといった動きはありましたが、プラモデルでの新製品は約40年ぶりです。
 そして今回追加された美少女部分担当の穂鷹アトリは過去作とは特に関係が無いようで、新・合体シリーズのウェブコミックでは主人公的ポジションのキャラです。なお、以前の合体シリーズのオリジナルメカではアオシマコミックという独自の漫画によるメディア展開があり、当時のアトランジャーにもパイロットはいました。

 なお、今回のバージョンのアトランジャーとアトリの設定についてはウェブコミックを読めばおおよそのところは把握できるようになっています。

 そういうわけでこのキットはアトランジャーと穂鷹アトリのセットです。ランナー構成的には、パーツが合計4個しかないクリアパーツのランナー1枚を除くと、アトランジャーとアトリそれぞれの本体、あと武器の3つでパーツはそれぞれ独立したランナーに配置されています。今のところ別売りとかは無いようですが、2体分でパーツが多いのでランナーを分けて作業できるのは便利です。
 材質はいずれも外装はほぼPSで、関節部はポリパーツ不採用でアトランジャーはABS、アトリはPOMで構成されている他、アトリの手のみPVC製になっています。また、そのABSとPOMのパーツは今後の流用も想定した設計のようです。
 なお、パーツの表面にはコトブキヤやMAX等のキットと同程度に油分が付着しています。

 で、まずアトランジャーから。

 全塗装しています。黄色い部分はアオシマ合体シリーズのイメージとしては原色の黄色の方がそれっぽいけど特にアトリ側の頭や腰のパーツはいかにも金属っぽい形状だしで、黄色のままにするか金にするかはだいぶ迷った部分ですが、最終的に原色よりだいぶ黄色っぽい色味にしてツヤを落とした金、という煮え切らないところに着地しました。
 他はおおむね成形色に合わせていますが、白い部分は腹部の逆三角の装飾だけ銀色にしました。
 なお、初代アトランジャーは時期やタイプによって成形色に相違がありますが、基本的にはマスクや上腕・太股は銀、前腕・スネは胸より濃い青だったようです(箱絵と中身でだいぶ色が違う場合もあったりで、よくわからないところもありますが)。それに合わせることも考えましたが、これ以上金属色を増やすのはやり過ぎな気もしたので銀は一部のみにして、ダークグレーの部分はアトランジャーはともかくアトリで青くするのは不自然な気もしたのでやっぱりそのままに。
 パーツ分割でほぼ全身色分け済み。ただ、背中の背骨状のモールドは青い部分はグレーで別パーツになっている一方で白い部分(合体形態だと羽根で隠れてほぼ見えませんが、やっぱり背骨状のモールドがあります)は見本写真でも色分けが無いですが、好みで塗っておきました。
 パーツの精度は高めですが、色分けが多くて分割が細かい関係でちょっとした誤差が積み重なって大きくなりがちなので、特に頭部は慎重に組んだ方がよさそうです。あと合わせ目は総じて目立ちにくい配置ですが、スネだけはパーツ自体が大きめのうえに左右両側に一直線に分割線が出ます。そういうわけでスネだけは接着とヤスリがけはしておきました。
 頭や足先以外のほぼ全身にABS製のフレームが入っていて、手首のみボールで他は全部軸関節の組み合わせで構成されています。組み換えのために各部が3ミリ軸で接続されていて、股関節を含めて可動軸もこの3ミリ軸で構成されていたりするので、部位によっては保持力が若干頼りないところもあります。なお、膝は両端に3ミリ軸が生えた挟み込みの関節パーツで上下をつなぐ構造で、可動軸自体はかなり太め。
 また、肘と前腕をつなぐ軸が短いうえにちょっと太いので、調整しないと入りづらいです。
 可動範囲は総じて広めで、胸と腹をつなぐ部分は2方向に曲げられたり肩の付け根にも2方向のスイング軸があったりしますが、肘は1軸なのであまり深く曲がりません。

 そういうわけで顔は眼も含めて色分け済みですが、マスクのスリットは塗る必要があります。

 顔や腕はガンプラでいう1/144相当のサイズですが、拳や脚は1/100くらいあるという独特な体形です。右に置いたのはフレームアームズのドゥルガーIですが、上半身がやや小ぶりなので全体的なサイズ感はガンプラ1/100よりFAに近いです。

 武器はブロークンカッター(剣)、ミラクルディフェンダー(盾)が付属。手は拳、平手、武器用の3種が左右それぞれ付属します。
 武器は白、黄色、青で色分け済み。
 武器は旧合体版では小ぶりで、特にブロークンカッターは拳が大きかったのもあって刃より拳の上下幅の方が長いという有様でしたが(「アウトサイダー・プラモデル・アート」収録の関係者インタビューによると、もっと長くするつもりだったけど金型に入りきらなくなった、とのこと)、今回のものはかなりボリュームがあります。
 剣は普通に手で握りますが、盾はグリップを握りつつ腕の羽根パーツを外してその穴に裏面の軸で固定する構造。盾のグリップは緩いので手だけで持つことはできませんが、前腕に固定した状態だと背中の羽根と干渉しやすいです。

 旧合体版のセット版の箱絵は左手で盾を前に構えつつ右手のロケットクリッパー(ロケットパンチ的なもの。ミニ合体版では腕と羽根で構成される分離メカも同じ名前なのでややこしいですが)を発射する、というポーズでしたが、グリップだけだと盾の角度を固定できないので再現は難しいです。

 このキット自体に台座は付属しませんが、背面にデフォルト形態では使わない3ミリ穴が複数あるのでそれを使って市販の台座に乗せることは可能。

 続いて分離形態を。

 頭がグランドタイガー、胸がマイティバード、腕と羽根と剣がレッドクリッパー、下半身と盾がターゲットキャリアになります。各機の名前は旧合体版のものを踏襲していて、そのためどう見ても陸上メカではないグランドタイガーがグランドだったりします(旧キット版では頭部を分離形態用の戦車の車体のようなメカに乗せたものでした)。
 なお、一部組み替える必要があるパーツが外せなかったので写真の組み方は本来のものとは一部相違します。具体的にはグランドタイガー上面に付く合体形態での胸部の飾りは本来は左右の羽根を外して中央部に対し前後逆に組み直しますが、弾力ではめ込む構造で外すのが怖かったので中央部ごと前後逆にしたのと、あとレッドクリッパーは本来は羽根の中央部のグレーのパーツを外して上下逆に付け替えますが、固くて外れなかったので左右の羽根を一旦外して中央部を赤い部分ごと丸ごと裏返しました。
 上述のように旧キットでは大量のメカパーツを追加して構成されていましたが、今回はグランドタイガーのノズル、マイティバードの機首というか頭部(赤い部分は腰装甲を外したものですが)とマニピュレータが増える程度で、あとは各パーツをつなぐジョイントを追加する程度になっています。
 また、旧キットではマイティバードは胸の他に腰も使っていて首から生えた機首を前に向けて仰向けになるような姿勢だったり、ターゲットキャリアは腰から外した両脚を合体用パーツで束ねた直線状の機体だったりで、いずれも今回のものではかなり別物になっています。レッドクリッパーは羽根に腕を付けるという構造は踏襲していて、旧キットで追加していた細長いロケット状の胴体が無くなった代わりに剣が機首に見えなくもない配置になっていたりで、他の3つよりは元のデザインに近い印象。
 また、旧キットでは分離形態4つで価格が統一されていたので変形用の追加パーツを含めた各機のボリュームも同程度でしたが、今回は変形用パーツが最小限になったうえに小顔で下半身が大きい体形にアレンジされたのもあってサイズ差がかなりあります。
 で、この他にも自由な組み換えが可能なわけですが、旧合体版と違ってほぼ人型を組むためのパーツしか入っていなくて難易度高めなのでやめておきました。

 最後に穂鷹アトリを。

 肌色はつや消しクリアを塗って、他は塗装しています。ただ、POMとPVCは地色のままですが。
 顔は塗装済みですが他にデカールも付属する他、主にスネから足先の色分けを補うためのシールも付属しています。
 スネの黒いタイツに黄色い帯を巻いたような部分はほぼ色分けされていませんが、形状再現のために前後のX字状に交差した帯とその下のタイツ地の部分がスネ本体に対し別パーツ化されているので、塗装は意外と楽です。また、この部分はシールも付属。
 あと腰は正面の前垂れの他にパンツも赤いですが、ここはシールで処理されていて、前後はPSですが下面のみPOMが露出します。とりあえずマルチプライマーを塗って塗装しておきましたが。なお、前垂れ基部のヒンジはグレーのPOM製ですが、余剰パーツ扱いで同じ形状の赤いPS製パーツも付属。かなり軸が細いのでそっちを使うのは強度に不安がありますが。
 ちなみに腹部の水色の部分はどこにもつながっていませんが、これはウェブコミックによると布ではなく防護フィールドの機能を正面に集約したものだそうです。アトリの台詞によると見た目はボディペイントのようになっているそうですが、パーツ分割で色分けされているので境目には凹凸もあります。

 顔は表情違いが3種と無地で眼や口のモールドが無いものの計4種が付属。前髪がちょっと取り外しにくいので交換もやや手間です。

 関節はほぼPOMで構成されていて、肘や膝も上下をPOMの関節ブロックでつなぐ構造。塗装に不向きなのと、あと膝を大きく曲げるとラインがやや崩れるという面もありますが(なお、膝関節は正面のみPS製のカバーが付きます)、ABSの挟み込み構造に対しては組んだ後でもバラせるし溶剤で割れる心配も無いという利点もあります。
 なお、POMのパーツは胴体等に使うものは肌色のみですが、肘、手首、膝、足首等に使うものは全く同じランナーが肌色とダークグレーの2枚入っています。
 これも自前の台座は付属しませんが、各部に3ミリ穴があるので市販の台座に接続可能。ただ、髪が短めで重心の偏りが少ないので、直立姿勢なら台座無しでも意外と安定します。

 アトランジャーとのサイズ比はこんな感じ。ウェブコミック作中では本来のアトランジャーは巨大ロボットですが完全な実体化には制限があるため、パーツの一部のみをこのサイズで実体化させてアトリが武器として使う、という描写になっています。

 バンダイの女性キャラ可動キットは毎度サイズが安定していないので、とりあえずコトブキヤ製キットと並べてみましたがやや小柄です。

 武器はアトランジャーの剣と盾、あと本体パーツの一部を装着して使うことになります。手はPVC製の拳、平手2種、Vサイン、あと握り手が付属。
 剣は一応手で持つこともできますが、アトリにはかなり大きいためかシールド裏のジョイントを介して腕に固定するようになっています。また、シールドは外側の羽根状のパーツを外して中央部のみを3ミリ軸で腕に固定。
 なお、ウェブコミックではキットのサイズ比より小さいものをそのまま手で持って使っていました。
 アトリの後頭部は3ミリ穴の付いたパーツに交換することで装飾を取り付け可能に。アトランジャーの前腕の羽根2つを専用のジョイントでまとめて飾りにできる他、胸の装飾をそのまま直付けすることもできます。また、構造上は上腕やスネの羽根を使うことも可能。

 アトランジャーの羽根(レッドウイングス)をそのまま背面に直付けすることも可能。

 説明書に載っているアトランジャー本体パーツの装備例のうち、ロケットクリッパーを両腕に付けたもの。本来はアトランジャーの腕の内側のグレーのメカ状のパーツを外して中の穴で接続するようですが、例によって外れなかったので腕の外側の3ミリ穴で代用しました。
 また、この形態ではグランドタイガーとマイティバードで使っていたバーニアノズルのようなパーツ(アトランジャーの合体形態では不使用)を前腕の端に付けます。
 この他にアトランジャーの腕以外の大半をブースターのように背負う装備例も載っていますが、例によってパーツが外れにくかったりで組むのが大変なので省きました。

 そういうわけで独立したキット2体のセットとしてはともかく、合体要素を活用するには有形ブロックのセンスが必要っぽいです。私はムゲンバインだのゾイドブロックスだのアッセンブルボーグだのその他諸々を触るたびにその手のセンスが皆無なのを再確認しているので、普通にデフォルト形態で飾っておくことにしますね・・・。

 

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