ストラクチャーアーツ 1/72ゼニス
 通常版は2020年10月発売のフロントミッションVol.1に含まれていて、その後23年11月にVol.1〜3の新装版としてライトグレーVer.が発売されています。今回組んだのは後者ですが、基本的にパーツでの色分けは無いし成形色の変更以外には特に仕様変更は無いようなので、塗装した状態だと同じもののはず。
 なお、大型機のレイヴン以外は価格が統一されていますが2023年5月発売のVol.4から値上がりしていて、それに合わせてライトグレーVer.も通常版から値上げされています。
 ストラクチャーアーツはスクウェア・エニックスが展開しているプラモデルで、フロントミッションの他にゼノギアスでもシリーズ化している他、リメイク版ライブアライブの限定版特典のブリキ大王のキットもこれに分類されています。フロントミッションに関してはスケールは1/72統一で、大型機のレイヴンを除いて4種が1組で発売されていて、通常版は4種セットの初回限定特典として新造の武器パーツが付属。ライトグレーVer.は4種セット購入で冊子が付いていました。
 フロントミッションシリーズ共通の仕様として成形色は本体外装、武装、関節部の3色のみで(通常版は本体がサンドイエロー、武器がオフホワイトで、ライトグレーVer.は本体がライトグレーで武器はより暗めのグレー。関節部は共通でダークグレー)彩色済みパーツやシールも無くて基本的には塗装前提で(通常版の成形色は全種共通なので、全部未塗装スミ入れのみで並べてもそれはそれで見映えしそうな気もしますが。あと色を揃えておいた方が組み換えはしやすいです)、あと関節部は共通パーツでPOM製、他は柔らか目のPSです。作中と同様に本体パーツや武装の組み換えが可能、というか関節が共通パーツなので作中では分割できない部分でのミキシングもある程度可能(作中ではボディ、左右のアーム、レッグの4つのパーツで本体が構成されています)。
 まあ、タイトルによってはパーツの改造の概念が無くて店売りパーツの更新ごとに性能の高いパーツで組み替えるしか無かったり、パーツと修得スキルが紐付けされていて育成方針に合わせて組むことになったりで、あまり個々のプレイヤー独自のセッティングに愛着が湧くようなゲーム性ではない場合が多かったりもしますが。
 あとパッケージ表面は単色の線画のみ、背面側はジオラマ風の写真が1点あるだけで、説明書にもカラーガイドは無いです。公式サイトには未塗装状態と塗装例の写真がありますが。パッケージ裏面には簡単な機体解説が何故か英文のみで記載されています。
 それと武器には個別の名前があるはずですが、説明書には何も書いていないし公式サイトにも分類(マシンガン等)の記載しか無いです(4種セット初回特典の武装パーツのみ商品説明等に名称記載あり)。

 ゼニスは作中の二大勢力の一方であるOCUのWAP(ヴァンツァー、ヴァンダー・パンツァー。作中の統一規格のロボット兵器の総称。ちなみに海外展開向けに各種用語が整理される前はヴァンドルング・パンツァーでした)最大手メーカーのジェイドメタル・ライマンの代表的な機体という設定で、シリーズ1作目(リメイク以降は他のシリーズ作との区別のため「フロントミッションファースト」に)で主人公・ロイドが最初に乗った機体(※)で、他に初期メンバーのサカタもゼニスに乗って加入します。その後もシリーズの顔的な扱いになっています。1stから年代が開いた時期でも見た目がよく似た後継機が代わりに登場(これは他の主要機体も割とそんな感じですが。あとおそらく容量的な事情で、同一作品内でも名前と性能が違うけど見た目は全く同じパーツがゼニス系列も含めて複数存在していたりもします)。
 ※プロローグ終了後にはテンダス(未キット化。作中唯一コクピットが開放型なのが特徴)に乗り換えていて、これは見た目の好み以外に使う理由が全く無いレベルの性能なので、事実上の初期主人公機は「最初のショップでプレイヤーが買ったパーツで組んだ機体」ということになります

 なんだかずいぶん話が長いなとお思いの方も多いでしょうが、歳をとってくるとレトロゲーの話が長くなりがちなのが人の常です(主語が大きい)。この後もキットに関係無い話が混ざるよ!

 そういうわけでPOMの塗装は諦めて他は全部塗っています。個人的には1作目に思い入れが強くて4以降はよく知らないので、1のイメージで明るめのライトグレーで肩に黄色のラインを描いてみました。宣材の塗装済み写真だと各部に細かくグレーの色分けが入っていますが、その辺も減らしています。
 頭部と肩装甲は2種類付属して選択式で、頭部は組んだ後でも交換できますが肩装甲は肩フレームを挟み込む構造なので今回は片方しか組んでいません(接着しないなら一応は交換可能)。これも旧作のイメージに近い方のパーツを使っています。
 スナップフィット仕様でパーツの精度は調整しなくても普通に組めるレベルですが、一部パーツの合わせ目部分のエッジが丸くて密着させても緩い窪みができる部分があります(逆にキットによっては縁がまくれている場合もたまにあります)。あと総じてディテールがかなり細かいですが、金型の抜き方向の都合で面によって密度や成形のシャープさに差があったりも。
 あと肘や膝の多重関節でPOM同士が噛み合う部分が固い場合があります。それと股関節のボール軸は上下スイング可動がありますが、調整しないと左右で渋みに差があって直立させようとしても若干横に傾きがちになったりもします。
 他にゼニスの場合、胸に付く照明みたいなパーツは外れやすいので接着した方がいいかも。他のキットでもアンテナや照明、発煙筒みたいな細かいパーツは外れやすいこともあります。
 関節はPOMのせいで塗装しづらい代わりにサイズの割にはよく動くし強度は安心です。肘は2重、膝に至っては大サイズでも珍しい3重関節。あと腕の付け根や股関節の軸は幅が違う2種類が共通ランナーに入っていて、体形が違う機体にもある程度対応できるようになっています。
 背面にはシリーズ統一規格のバックパック用ジョイントがあります。あと肩と前腕にも径が共通の武装用ジョイントがあって、一部キットを除いてバックパック側面にも同じ径のジョイントがあります。
 なお、台座の類には特に対応していません。作中では基本的に歩行とローラーダッシュしかしないし、小型で軽いうえに総じて接地面積が広いデザインなので立ちポーズなら安定性はかなり高いから特に問題は無いですが。ちなみに基本的には足裏は別パーツでふさがっていて(指もしくは爪に相当する部分だけ裏が窪んでいる場合もあります)、特にギミックは無いですが履帯もしくは車輪のようなモールドがあります。

 そういうわけで頭部は2種類あります。デフォルトの方をてきとうに塗ったらどうにも1stの印象とは別人なので、眼の縁を黒く塗ってバイザーは銀にしましたが(1の機体の眼は基本的に白いです※追記:選択した本体カラーに応じて変化していました)、そもそも3あたりで楕円状のヘルメットに水平なバイザー眼が定着したけど1の時点ではデザインから別物っぽくて、ツインアイになっているもう片方の顔の方が近いかもしれません。額に赤を足したのが余計だった気もしないでもないですが。
 どうも後発のゼニスDVの頭部の方がそれっぽい気もします。あれは商品説明によると5準拠のモデルだそうですが。

 価格の割に小さいともいえるし、この題材と可動&付属品とラインナップの割には低価格ともいえるような。
 1/72ですが、胴体に人が入るには狭そうなデザイン。

 武装はライフル、ショットガン、マシンガン各1種、ナックル、あとターボバックパックが付属。ナックルのみ手と一体化していて左右1組付属します。
 手は拳、平手、握り手が左右それぞれ付属。3本指のテラーン等を除くと手はランナーが本体パーツとは独立していて複数のキットで共用されていますが、主に手の甲の形状の相違でバリエーションがいくつかあります。ただ、前記の3種類という点はいずれも共通。
 手は各1パーツ構成で、握り手はスライド金型で穴が開いています。
 他に各部の丸穴ジョイントに武器のグリップを接続できるジョイントや丸穴自体を塞ぐためのカバー、丸穴と丸軸の間に付けられるアーム状のパーツ等がPOMの共通ランナーに入っています。というかこの辺のパーツの用途は説明書には全く説明が無いですが。
 武器の握りの噛み合わせは適度です。
 銃身は左右で割らずに1パーツ(ライフルはグリップ付近の分厚い部分のみ別パーツ)で、銃口はスライド金型で成形されています(マシンガンのみ別パーツ)。ただ、ライフルのスコープの端は平面。この辺もだいたいシリーズ共通の仕様ですが、後発のキットだと違うパターンも増えています。

 2以降は戦闘演出が3D化しますが、1はドット絵で斜めの見下ろし視点固定だったのでそんな感じで。ちなみに1の時点ではシールドが肩装備扱いだったのと手の武器を格闘または近距離のどちらかに揃えておくと攻撃後に確率判定で反対側の腕で再攻撃するスキルが存在していたので(ちなみに再攻撃時にも確率判定があって、後半はダメージの振れ幅がだいぶ大きくなったりも)、その辺のスキル修得が不可能もしくは成長特性が遠距離特化のパイロットを除けば両手に同系統の武器を持つのが基本でした。

 ナックルに一体化した手のボールは他の手のものより径が小さいようで、外れたり勝手に回ったりするほどではないですが若干緩めです。
 なお、これに限らずナックル系武器に一体化している手はそれが付属するキット本体のものとデザインが揃えられています。
 特に旧作は攻撃モーションが機械的というかあまり脚を大きく開いたり胴体を前後に曲げたりとかは無かったので、可動範囲自体は広いのに写真だとそれを活用していない感じですが、まあ。ちなみに1の格闘はローラーで接近して腰の回転で腕を振る感じでした。
 ところで1には格闘武器がロッドとトンファーだけでナックル(とパイルバンカー)は存在しなかったうえに、何故か中盤からは店売りの格闘武器が追加されなくなるのでそれ以降は素手でアームのパンチ機能を使う方が攻撃力が高くなっていました。あと格闘は素の状態だと近距離武器には必ず先手を取られる代わりに、発動すると反撃も含めて先制になるスキルが存在したので、先制と再攻撃が連鎖すると攻撃してきた相手を一方的に殴り倒せる可能性もあったりしました。

 シリーズの大半のキットで手持ち武器が余りますが、前述の共通ジョイントパーツで4個まではバックパックや肩、腕に取り付け可能(手が一体化しているナックルは除く)。
 ジョイントパーツを組み合わせて銃を肩キャノンっぽく配置することもできます。

 腕の付け根に引き出し機構もあるのでライフルのストックを脇に挟んで銃身に手を添えるような構えもできますが、左肩の位置がちょっと不自然な感はあります。

 

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